第4章 ライフプラン表で家計を改善する

将来の夢や希望を叶える【ライフプラン表を確認しよう】

生き方の価値観を総合的に捉える

ライフプラン表を作成することで得られるもの

 ライフプラン表は完成したけど、ライフプラン表は完成させることが目的ではありません。

 身につけた知識をライフプラン表と照らし合わせ、将来の夢や希望を叶えることが目的です。

 僕のお客様で実際にライフプラン表を作ってコンサルティングをすると、

「自分たちの家計を俯瞰で見ることができるので、しっかりと把握することができますね」

「我慢して安い方の車にしようと思ったけど、こっちのグレードでもいけるかも」「家計を客観的にみれるので、不安や焦りを必要以上に感じることが少なくなった」

などと言われます。

 ライフプランというとお金のことばかり考えてしまいがちですが、お金だけじゃなくて、何歳まで働くとか、東京の学校に行きたいとか、家族と将来のことについていろんな話ができてよかったって言われます。

 ライフプラン表を見直し、家計に手を加えることで、ライフプランはさらにより良くなります。

 これから先のページでは、出来上がったライフプラン表の活用方法について見ていきましょう。

5つのステップで行う家計改善の始め方

家計改善の5ステップ

家計改善の5ステップ

 貯蓄目標達成のためには、現状の把握から始め、行動計画を策定して実行するという家計改善のステップを踏みます。

①現状把握

 月々の収支が目標額以上の黒字になっているか確認します。

 もし、毎月の収支が赤字で、年間の収支が黒字になっている場合には、ボーナスや貯蓄に頼りすぎていないか確認してみましょう

②理想の状態の明確化

 ステップ①で毎月の収支を確認しますが、その収支は無理なく達成できているかということを確認します。

 目標達成できていなかったり、達成できていても無理があるようであれば何らかの問題が考えられるので、次のギャップの原因確認で原因を探ります。

③原因確認

 収支が赤字になっていたり、行動に無理があるようなら、家計簿による分析や固定費の洗い出しが効果的です。

 例えば、保険が重複しているとか、住宅ローンの金利が高かったり、通信費が高いといったことが見えてきます。

④行動計画

 無駄な支出や払いすぎている固定費が確認できたら、それらを解決するための計画を作ります。

固定費の見直し

家計改善のヒント

 では、解決に向かってどういった計画を立てれば良いのでしょうか?

 ズバリ固定費の見直しから着手するのがオススメです

 固定費というのは、ライフプラン表に入力した、住居費や通信費、保険料の項目です。

 固定費の見直しには、専門的知識が必要なことも多く、一時的には手間がかかりますが、一度契約を見直すことにより効果が持続され、その後の管理が楽になります。

 しかも、固定費は支払い額がはっきりしているので、効果が実感しやすく、見直した後の満足度が高いのも特徴です。

 そして、一度見直してしまえば、サービスの変化を意識することが少なく、節約による苦痛を感じることが少ないのもメリットと言えます。

 固定費の見直しとして例えば住居費の見直しは、賃貸の場合、物件の条件や立地にこだわらなければ家賃は抑えやすくなります。

 駅からの距離や築年数、階数、構造、間取りや広さで妥協できる点を洗い出してみましょう。

 住宅ローンは、借りたときの金利と現在の金利が変わってきていれば、借り換えが効果を持つ場合があります。

 貯蓄に余裕があるなら、早めに返済する繰り上げ返済を行うことで返済総額を抑えることができます。

 通信費は、携帯電話料金やインターネット回線の料金、アプリの課金などを見直します。

 契約を使い方に合わせたプランに見直すとか、格安SIMに変更することで料金を抑えることがでます。。

 また、携帯電話を乗り換えた際に、期間限定で無料になるアプリが入っていることもあるので、使っていないアプリやサービスがないかを明細などで確認してみましょう。

 保険料は保障額が多すぎないか、言われるがままに加入していないか、保険料がある年齢で更新して変更になるタイプの保険だと同じ保障額でも保険料がだいぶ大きくなっている場合があるのでチェックしてみましょう。

 固定費の見直しは、専門的知識が必要なことも多いので、専門家のアドバイスを受けるのも効果的です。

やりくり費の見直し

 固定費の次に手をつけるのは、やりくり費の改善です。

 やりくり費の改善が上手くできない原因は、理屈はわかっていてもなかなか実行できないケースがほとんどです。

 なぜなら、痛みや満足度の低下を伴うため、実行しても途中で挫折してしまいがちだからです。

 安いものを探し続ける努力が必要だったり、節約することでサービスの内容や満足が低下することもあり、節約による苦痛や我慢を感じやすいといえます。

 やりくり費を改善するには、理屈よりも動機付けが大切で、長く継続するには、習慣化に持ち込むことがポイントです

 例えば、タバコやお酒は健康のことも考え、減らしたりやめたりしていく。外食を減らし、自炊やお弁当に変えていく。

 こういったことは節約だけでなく、味付けや量が調整できるので、健康面でもメリットがあります。

 家族の協力が得られないと、効果が限られてくることもやりくり費改善の難しい要因です。もちろん、やりくり費の見直しも効果はあるので、見直す場合は継続が簡単なものから始めましょう。

 ⑤計画の実行

 保険の見直しや、住宅ローンの借り換え、繰上げ返済、適切な通信会社への乗り換えなど固定費の見直しから着手し、継続が簡単にできる項目でやりくり費の改善にも着手してみましょう。

 家計が苦しい状態になってから節約を始めると人生が楽しくないものになりかねません。将来に備えて早いうちから問題点を見つけ、1つずつ解決に向けて取り組んでいきましょう

借り換えと繰上返済を使い分ける【住宅ローンの見直し方法を知る】

返済期間から見た住宅ローンの特徴

住宅購入にかかるお金(返済期間から見た住宅ローンの特徴)

 賃貸の場合は、住み替えなどで費用を見直す事は可能ですが、持ち家の場合簡単に住み替えるわけにはいきません。

 ここでは住宅ローンを見直す際のポイントについて見ていきましょう。

 これまで住宅ローンの返済期間は35年が最長でしたが、最近は35年を超えて返済期間を40年とか50年以内とする金融機関も出てきています。

 返済期間が長くなるほど、毎月の返済額は少なくなる一方、利息を含めた返済総額は多くなります。

 さらに、あまりにも長い住宅ローンは、リタイアした後も返済が長く続くことになります。

 定年後の年金が主な収入源となる中で、住宅ローンの返済が何年にもわたって続くのは毎月の家計に大きな負担を与えます。

 住宅ローンは借りた後もしっかりメンテナンスをすることによって、負担を減らすことができる可能性があります。

住宅ローンの借り換え

住宅購入にかかるお金(借り換えの効果)

 現在借りている住宅ローンの金利が高めな人、今後適用金利が上がる人などは、住宅ローンを借り換えることによって総返済額を減らしたり、毎月返済額を抑えることができる可能性があります。

 例えばローン残高1500万円。残りの期間15年、適用金利3%だとすると、残りの返済額は元利合計で約1865万円です。

 これを仮に、適用金利2%の住宅ローンに借り換えることができれば、借り換え後の総返済額は、合計で約1737万円になります。金利1%引き下げで約130万円の減額です。

 諸費用を考慮しても100万円前後の利息軽減効果が期待できます。

 金利水準の低い変動金利を利用して期間を短縮するとかなり大きな効果が期待できるように見えますが、現時点で金利水準の低い、変動金利型や固定期間選択型の2年3年固定などの場合、借り換えを実行しても将来の金利変動によっては返済額が増えてしまう可能性もあるので注意が必要です。

 借り換えには様々な手数料がかかるため、手数料を差し引いても負担軽減効果が見込める事が借り換える条件です。

 どのような場合に、住宅ローンを借り換えるべきかは人によって異なります。次の3つの条件に当てはまる人は具体的に検討してみると良いでしょう。

  • 住宅ローンの残高が1000万円以上ある
  • 借り換え後の金利が1%以上低くなる
  • 残存期間が10年以上ある

 将来の金利変動を予測するのは難しいため、ローン残高が多く、残りの返済期間が長い場合などは固定金利を優先して検討してみましょう。

住宅ローンの繰上返済

住宅購入にかかるお金(繰上返済)

 繰り上げ返済には毎月返済額はそのままで返済期間を短縮する期間短縮型と、毎月の返済額を軽減する返済額軽減型の2つのタイプがあります。

 借り入れ額3000万円の住宅ローンで5年後に100万円を繰り上げ返済した例で見てみると、期間短縮形を選択した場合、毎月返済額は変わりませんが、返済期間が1年4ヶ月短縮となり、利息は約107万円軽減されます

 一方、返済額軽減型を選択した場合は、返済期間は変わりませんが、毎月返済額は4753円軽減され、利息は約42万円軽減となります

 利息の軽減効果は、期間短縮型の方が大きくなります。

 繰上返済は、金融機関等によって手数料や繰り上げ可能な金額等が異なります。

 インターネットなど無料でシミュレーションできるサービスも増えているので、あらかじめ試算しておきましょう

 また、借り換えと同時に繰り上げ返済をするのもより効果的です。

 うまく借り換えと繰り上げ返済ができればトータルで数百万円の効果が得られる場合もあります。

 繰り上げ返済に資金を回しすぎたあまり教育費や生活費が足りなくなってしまうと言うケースもあります。

 繰り上げ返済を利用する時は、他の支出とのバランスも考えましょう。

自分に合った料金プランをチェック【通信費の見直し方法を知る】

スマホ代とインターネット料金を見直す

 通信費で大きな割合を占めるのがスマホ代です。一人分の料金は数千円でも、家族全員分のスマホ料金を見直すと年間で数万円の削減につながる場合もあります。

 スマホの料金ですが、結論を言うと一般的な使い方をする人だったら格安SIMに変更して問題ありません。

 キャリア携帯をお使いだったらサブブランドに変更するってことです。

 キャリア携帯とはドコモ、au、ソフトバンクなど自前の通信設備を持っている通信会社です。ドコモはahamoとirumo、auはUQモバイルとpovo2.0、ソフトバンクはYモバイルとLINEMOの名前で格安SIMを提供しています。

 キャリア携帯から格安SIMに変更するだけで、月に数千円、年間で1万円以上支出を抑えることができます。

 また、自宅にインターネット回線を引いている場合は、光回線とスマホをセットで契約しましょう。

 ただし、格安SIMの場合は、光回線とのセット割がない場合があります。

 セット割が適用できる格安SIMは、irumoならドコモ光。

 UQモバイルならビッグローブ光・auひかり ・ J:COM NET など

 YモバイルならSoftBank光です。

 どれかをすでにご利用中なら、この時点で申し込むべき格安SIMは決定です。

通信費の見直し
通信費の見直し

使っていないサービスや料金プランを見直す

 無料期間が過ぎた後もそのままになっているサブスクとか、使っていないゲームアプリや動画配信サービスを、定期的に整理することでも通信費の節約につながります。

 また、携帯電話会社では、不定期で新しい料金プランを提供していることがあり、プラン変更をすることで毎月の通信費を抑えられる場合があります。

 室内にいることが多く、WiFiを利用することが多いのに無制限プランにしていたり、通話はLINEを使っているのに通話し放題オプションをつけている場合があります。

 今は期間を気にせず簡単に料金プランの変更ができます。

 必要な容量や通話時間など、利用状況に合わせた最適な契約プランに変更しましょう。

 まずは、ご自身の利用状況や料金を確認してみてください。

健康保険でカバーできる【保険の見直し方法を知る】

加入している契約内容を確認する

保険の契約内容の確認

 社会の仕組みや家庭環境等が大きく変われば、必要な保障も変わってくるはずです。

 そのため、保険は加入した後も定期的に内容を確認し、必要に応じて見直しをすることも検討しましょう。

 年末調整や確定申告のために、年に一度は保険会社から契約内容が確認できる書類が送られてきます。

 保険に加入するときは、保障内容や保障される期間、保険料の金額や支払い期間など、いろんなことを確認して契約すると思いますが、一度加入してしまうとそのまま放置している人が少なくありません。

 請求が漏れていたり、保障が切れている場合もあるので、年に一度は契約内容を確認しましょう。

 契約内容を確認するポイントですが、契約関係者の変更がないか、保険料、保険金、保険期間などを確認します。

 契約関係者ですが、保険には、被保険者、契約者、保険金受け取り人が存在します。

 三者の関係によっては保険金受け取り時に贈与税がかかってしまうこともあるので、契約関係者に変更がないか確認しましょう。

 例えば独身時代に契約した保険を継続していて受け取り人が親のままになっているようなケースがあります。

 契約以降に家族の状況が変わっている場合には、特に受け取り人が適切であるか確認しておきましょう。

 最近では、保険金等を請求する意思表示ができない場合に、指定代理請求人を指定している契約も多くあります。

 指定代理人が誰になっているのか、どのような時に代理人で請求できるのかなども確認しておきましょう。

 保険は不測の事態に備えるために加入するものですが、病気やケガをしてしまったときなど、健康保険でカバーできる部分もあります。

 保険で家計を圧迫してしまわないように、見直しのポイントや家計の負担を抑える方法について確認してみましょう。

高額療養費制度

医療費の自己負担

 医療保険ですが、健康保険制度のおかげで、病気やケガをした時や入院した時は医療費の自己負担が、一般的な人は3割の負担でいいようになっています。

 仮に入院した場合は、この自己負担の3割と、食事代や差額ベッド代などがかかることになります。

 例えば、入院して1ヶ月100万円の医療費がかかった場合、医療費の自己負担額はいくらだと思いますか?

 100万円の3割だから30万円。

 ではなくて約8万7000円です。

 一般的には医療費は3割負担なので、100万円の3割で30万円ですが、医療費が高額になると高額療養費制度があり、1ヶ月あたりの自己負担額の上限が決まっています。

 毎月の上限額は、70歳以上なのかや、所得水準によって分けられ、70歳以上の方には、外来だけの上限額も設けられています。

 また、1回の窓口負担では上限額を超えない場合でも、複数の受診や、同じ世帯の受診は自己負担額を1か月単位で合算することができます。

 もともと、医療費の自己負担額が3割負担なのに加え、自己負担額が高額になった場合は、高額療養費制度があるので自己負担限度額を超えた分は、あとで払い戻されます。

 所得や年齢によって自己負担限度額は異なりますが、一般的に1ヶ月の自己負担限度額は約8万7000円になります。

高額療養費制度と付加給付

付加給付制度

 さらに、高額医療費に上乗せして医療費を払い戻してくれる付加給付制度もあります。

 付加給付制度とは、1カ月間に支払った医療費が高額療養費の自己負担限度額を上回った場合に、超えた部分の医療費を払い戻してくれる制度です。

 上限となる自己負担限度額は加入している健康保険組合によって異なりますが、厚生労働省が指導している金額は2万5000円で、それに近い金額が設定されています。

 したがって、付加給付制度がある会社にお勤めの人の場合、1ヶ月の医療費の自己負担は約2万5000円になります。

 ただし、付加給付があるのは大手企業の健康保険組合などに限られ、中小企業の人などが加入している「全国健康保険協会(協会けんぽ)」などのように、付加給付制度のない健康保険組合もあります。

 また、国民健康保険には付加給付制度がありませんので、自営業者なども付加給付の対象外となります。

 付加給付制度がある大手企業などの場合は、国民健康保険の高額療養費制度による払い戻しに、さらに上乗せして独自に「付加給付」を行っているということになります。

 なので、この自己負担に備えるために保険に入ったほうが安心だと考える人は医療保険を検討した方が良いと思います。

 でも、それくらいだったら貯金でなんとかなるかなって思う人は、医療保険料として払っている月の数千円は貯金していた方が良いって思うかもしれません。

 がん保険にも同じようなことが言えます。がんだからって高額療養費制度の対象外ってことはなく、がんで入院しても1ヶ月の自己負担は一般的には約8万7000円です。

 ただ、がんの場合は先進治療や通院が長くなる場合があるので、そこを気にする人はがん保険を検討すると良いでしょう。

健康保険制度

保険の見直しは合理的な判断ができない場合がある

 日本では、病気やケガで入院した時も、万一のときにはサポートしてくれる健康保険制度があります。

 そして、すべての人が健康保険に加入していることになります。

 だから、民間の生命保険ってあまり必要なさそうですが、ほとんどの人は、保険に入っておかないと不安な気持ちになってしまいます。

 必ずしも人間は合理的な行動をするとは限らないからです。

 例えば月々2000円の保険料で医療保険に入った場合、年間2万4000円、10年間で24万円の保険料を支払います。

 保障内容は入院1日あたり、1万円の入院給付金が支払われるとすると、10年間で1ヶ月ぐらい入院しないと元は取れませんが、2、3日入院して保険金を2、3万円受け取っても保険に入っていてよかったって思います。

 保険金を受け取ると、もらった保険金以上に保険料を払っていることを忘れてしまうし、自分のやったことを正当化したくなります。

 ほとんどの人は、家族が入院したときは保険に入っていたかどうかが気になるし、保険金をもらった時は、よかったって思います。

 合理的な計算だけでなく、安心できるかどうかが保険を見直すポイントです。

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