行動経済学

投資信託はいつやめる? 行動経済学から資産運用のゴールを考えてみる

資産運用は、始めるよりも終わることの方が難しい

ニックネーム、あずちゃんママさんから質問をいただきました。

いつもありがとうございます。
最初は、全く何にも知らず口座のつくりかたもわからなかったポンコツですが、今では順調に利益も出ていて数字を見るのが楽しくなってきました。
<略>
順調なうちにやめた方がいいのか、このまま続けた方がいいのか、よくわからなくなってきました。どうしたらいいでしょうか?

いつもは、これから資産運用を始めようと思っている方向けに話をしているので、始める前から止める時の話かと思う人もいるでしょうが、資産運用で最も大切なことは終わり方です。「いつ止めるかです。」

資産運用でも、商売でも利益を出す基本は、「安い時に買って(仕入れて)、高く売る」という考え方です。

「最も安く買って、最も高く売りたい」と誰もが思うのは当然のことです。

しかし、「最も安い時」も「最も高い時」も誰にもわかりません。

そんなこと言われなくてもわかっているよ! と思うでしょうが、資産運用で失敗する方のほとんどは、この誰にもわからないことを、自分だけはわかっていると過信して失敗しています。

失敗する人の心理と行動パターン

行動経済学の分野に、行動ファイナンスというものがあります。

行動ファイナンスとは、人間は本来、合理的な選択をするものですが、ときに不合理な行動を行います。不合理な行動から人間が陥りがちなワナを解明し、なぜ間違った判断をしてしまうのかを解明するものです。

下の図は、ここ5年間の日経平均株価の推移です。

失敗する人は値動きによって、どんな心理状態になり、どんな行動をしてしまうのかを考えてみましょう。

2017年8月以降の日経平均株価 出典:smart chart plus

自分だったら、4番の24,000円の時に売ってるよと思った方も多いのではないでしょうか?

しかし、現実は「安値売り」「高値掴み」などと言われるように、人は必ずしも合理的な行動をとるとは限りません。

冷静に考えてみればわかるようなことでも、感情にながされて、ついついやってしまった! なんてことは誰にでもあるのでしょう。

資産運用はギャンブルではない

利益が出ている時は、「うまくいっているし、もっとプラスになるんじゃないか。」と考え、損失が出ている時は、「もっと下がって、お金がなくなってしまうんじゃないか」と必要以上に不安になります。

こういう何の根拠もない、誰にもわからないことを、自分だけはわかっている、誰々が言っていたからという考えはギャンブルに近いものがあります。

「これだけつぎ込んだから、もうそろそろ勝てるだろう」

「調子がいいから、まだまだ勝てるはず」

「今日のラッキーナンバーは7番だから」

こんなふうに考えていては、判断を誤り利益を得ることはできません。

「なんてバカなことをしたんだ、あの時にこうしていればよかったのに」と後で考えれば不合理な行動だとわかるのですが、その瞬間は感情的になり、根拠のない話や、感情に流され不合理な行動をとってしまいます。

迷った時に役立つ行動ファイナンス

資産運用で失敗した方の話を聞くと、マイナスになっている時に「これ以上損するのは嫌だから、損するってわかっていたけど手放した」という話をされます。

平常時なら、損している時に、損することがわかっていて売るなんて考えられないと思いますが、失敗した方の多くは「新聞やテレビ、ネットは不安を煽ることしか言わないし、毎日お金が減っていって最後にはなくなってしまうんじゃないかと、不安になって夜も眠れません。損することがわかっていても、1日でも早く手放してスッキリしたかったし、もう資産運用はこりごりです。」という話をされます。

なぜ、損をすることがわかっているのに、損をするようなことをしてしまうのでしょうか?

その理由は、人間の感情にあります。

何となく始めて、目標もなく、売る時は一番高いところで売る! 増えるならどこまでも無限に増えてくれ!なんてことを考えます。

しかし現実は、一番高いところなんて誰にもわかりませんし、無限に増え続けることもありません。

誰にもわからないことだと、頭ではわかっているけど感情が邪魔をして行動することができません。

感情に邪魔されずに、冷静な行動をとるためにはどうしたらいいのでしょうか?

目標や目的を明確にする

1つ目は、明確な目標を定め、事前にルールを決めておくことです。

メールセミナーでもお伝えしていますが、大事なことは目標や目的を明確にすることです。

いくらになったら売ろう。何年経ったらやめよう。などと金額や期間を定め機械的な判断をすることで、感情に流されることを防ぐことができます。(とは言っても、自分で決めたルールは変更しやすいんですけどね。)

しっかりと明確なゴールを決めておくことで、日々の値動きに一喜一憂せず、心理的負担を軽減し長く相場にい続けることができます。

信頼できる専門家にアドバイスをもらう

2つ目は、信頼できる専門家にアドバイスをもらうことです。

人は誰しも自分のやっていることを否定したくはないので、少しの失敗も甘めの評価をしてしまいます。

ダメなものはダメ、いいものはいいと親身になってアドバイスしてくれる専門家の意見を参考にするのも大切です。

お金の判断に迷った時は、損した、得したという目先の損得に惑わされて、大切なことを考える余裕が生まれません。

感情的な行動をとって判断を誤らないように、専門家にアドバイスをもらうことも長いスパンでの資産運用を成功させるポイントです。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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